雑記

アホです。

Instagram公式で紹介された写真が実写版シュルレアリスムな件について①〜マグリット編〜


Instagram(以下、インスタグラム)で紹介されているお洒落写真が、シュルレアリスム絵画の実写化みたいで良い。‬という話。


パクリ指摘ではありません。


「インスタグラムが紹介するということは、少なからずシュルレアリスムっぽい作品の需要があるのだろう...」

「でも、シュルレアリスムなんて、芸術に興味がない人は知らないよなぁ...」


ということで、今回はシュルレアリスムの面白さを伝えられたらと思い、書きます。



まずInstagram写真と、その写真に似た感じのシュルレアリスム絵画を紹介します。

それから、どのあたりがシュルレアリスムっぽいのか、他にどんな作品があるか書くことで、シュルレアリスムについて柔らかーく説明して参ります。

今回と次回の2回に分け、語りまくりますよ。



写真を紹介する前に。

シュルレアリスムについてガバッと説明します。

シュルレアリスムとは20世紀前半に流行った摩訶不思議な芸術です。脈略のないモチーフの組み合わせや、現実には有り得ない表現をすることが特徴です。


1924年アンドレ・ブルトン(仏)という詩人が「シュルレアリスムやろうぜ!」と宣言してから、詩だけでなく絵画や彫刻など様々な分野でシュルレアリスムが流行りました。

後のポップアートにも影響を与える(https://www.ggccaatt.net/2015/04/19/)など、シュルレアリスムは芸術界では重要な芸術運動でした。



余談ですが、アンドレ・ブルトンシュルレアリスム宣言を行うに留まらず、気に食わないアーティストに追放宣言をするなど、何かと宣言ばっかりしている人です。

また、蟻が大嫌いで、蟻を滅却しようとガソリンを撒いて火を付けたこともあったそうな。結果、自分の家が全焼したらしいです。

こういうことを言うのは良くないのですが、見ている分には面白いけれど友達になると厄介そうなタイプだなぁ...という気がしました。

(蟻エピソードの出典:ディディエ・オッタンジェ編、柏木博監修、遠藤ゆかり訳『シュルレアリスム事典』創元社、2016年)





‪さて、インスタグラム公式(http://instagram.com/instagram)はたくさんの写真を紹介しています。その中のどの写真がシュルレアリスムっぽかったのか。


例を2つほど挙げます。今記事は最初の1つをご紹介。



https://instagram.com/p/BP6OyYDjQOU/


↑こちらがインスタグラムが紹介した、Daniel Selva氏(http://instagram.com/daniel_serva)の作品。

画面半分の曇り空と、半分の暗い海。その海に浸かり佇む人。その姿は半透明で、胸の当たりを地平線が横切っています。もっとも特徴的なのはその顔。雲に覆われ、見えません。まるで雲が顔であるかのようにも見えます。陰鬱な雰囲気が伝わってくる作品ですね。陰のある、ミステリアスな雰囲気が素敵です。いいねもたくさん付いています。(画像は載せられないので、ボキャ貧承知で頑張って解説しております)



https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/son-of-man-1964

https://www.ggccaatt.net/2015/02/28/

↑そしてこちらがシュルレアリストルネ・マグリットの『人の子』。



「あんまり似てなくね?」と思った方もいるかもしれませんので、似ていると思うポイントも説明させていただきましょう。


思うに、

①人の顔だけを変形・置換するという着眼点

②背景が海であるところ

雲というモチーフ


といった特徴が、わたしにマグリットを思い起こさせたのでしょう。上の3点は、マグリット作品に多く現れる特徴と同じなのです。


それらの具体的なマグリットの作品例はこちらをご覧下さい。



https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/the-victory-1939

↑青空と一体化するドア。マグリットは雲や青空をよく描きます。


https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/rape-1934

↑有名な作品のひとつ『レイプ』でござります。女性の顔が裸体になっています。


https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/the-pleasure-principle-portrait-of-edward-james-1937

↑顔が人じゃないコレクション。めっちゃ光ってる。太陽神かというくらい光ってる。しかし、陰鬱な雰囲気を醸しております。


https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/the-man-of-the-sea-1927

↑人の顔が木の板になっていたり、背景が暗い海だったり共通項があります。


https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/clear-ideas-1958

↑海と雲と岩と。


https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/the-therapeutist-1937

↑顔どころか、上半身が丸々鳥かごに。




覆面性、海、雲といったモチーフは、どこか惹かれるものがありますよね。

そういったミステリアスな雰囲気、かつ斬新なアイデアがあるのがシュルレアリスム。是非一度美術館でご覧下さい。個人的なおすすめはマグリット、ダリ、クレーです。




★ところで、ルネ・マグリットとは?

ルネ・マグリット(ベルギー)は、シュルレアリスムの代表的な画家です。

山高帽子にスーツを来た姿が印象的ですが、同時代に活躍したサルバドール・ダリと比べると地味です。実際、芸術家としては平々凡々な人生だったようですね。しかし、幼い頃に母親を亡くした経験があり、そのことが彼の芸術活動に影響している、との見方もあります。その後は普通に成長し、幼なじみの女性(ジョルジェット)と結婚し、愛犬と共に暮らしていたそうです。時にはお互い浮気をしかけたこともあったそうですが、無事復縁し添い遂げます。本当に、芸術家にしては普通なんですよね...。自分の耳を撃ち落としたりしないし、友人の妻を寝取ったりしないし...。ただ、その平凡さは演技であるとも言われています。小さい頃はやんちゃだったらしいですしね。


彼の作品の特徴は、筆致を残さない古典的な塗り方と写実性です。何となく表情のないような、無機質な印象を見るものに抱かせます。その他、人を驚かせたり不思議がらせる絵を多く描いています。また、シュルレアリストあるあるなのですが、作品に頻繁に現れるモチーフがあります。


例えば、鳥、卵、海、青空、雲、窓、鳥かご、魚、女性の胴体、山高帽子の男(自分?)、球体(鈴?)、柱のようなもの(先が丸い)、頭、指、目、大砲、パイプ、文字、木、葉、月、薔薇、岩、山、りんご、カーテン、ライオン、馬、チューバ、椅子、変形する人体、覆われた頭部、蝋燭、帆船、真珠、火、カンバス、ガラス、妻(ジョルジェット)、ドア、銃、木目、木の板、音符、などなど。


44個も挙げましたが、見ていると大体こればっかりです。「またこれか」という謎の既視感を抱きます。特徴がないようで特徴的で、何枚か見ただけですぐマグリットの絵が分かるようになりますよ。





★関係ないけれど、おすすめのマグリット作品★


この先は、独断と偏見によるマグリット作品紹介です。興味のある方はどうぞ。大雑把な紹介文を書くので、それを読んで気になってしまいリンクを押したらわたしの勝ちです。

全部見る→https://www.wikiart.org/en/rene-magritte



https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/the-empire-of-lights-1954

↑『光の帝国』。昼の空に夜の街。明るい晴天の下には、街灯が灯っている。水たまりが映す空がやけに眩しい。人気作。


https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/the-castle-of-the-pyrenees-1959

↑『ピレネーの城』。海上に浮かぶ巨岩。サブカル女子が好きそう。人気作。


https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/gonconda-1953

↑『ゴルコンダ』。同じ人がたくさん浮いています。人気作。


https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/the-treachery-of-images-this-is-not-a-pipe-1948

↑『これはパイプではない』。有名な作品です。パイプの絵の下に、「これはパイプではない」と書いてあります。


https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/the-listening-room-1952

↑部屋いっぱいの巨大りんご。これもわりと有名かも。


https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/the-tomb-of-the-wrestlers-1960

↑『戦士達の墓』。部屋いっぱいの一輪の薔薇。


https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/the-magician-self-portrait-with-four-arms-1952

↑自画像の一つ。4本の腕があります。本物の絵を見ると、絵じゃないのかな?と思うほどに写実的です。それでいて非現実的なのが、マグリットの魅力の一つ。


https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/primevera-1926

↑初期作品。ピカソ同様、マグリットも画風が何度か変わります。この頃はシュルレアリスムではなく、アール・デコです。ポスターなどを描くことを生業としていたのだったと思います。


https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/the-smile-1943

↑こちらは印象派のようなタッチ。ご存知の方もおられるでしょうが、印象派は少し前の時代の手法でした。しかし、あえて描いていたようです。野獣派のような絵を描いた時期もありました。画家って器用ですね。


https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/alice-in-wonderland-1945

不思議の国のアリスをモチーフに描いた作品。マグリットにしては珍しく、明るい。



https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/the-lovers-1928

↑『恋人たち』。ロマンチックにキスを交わす恋人たち。しかし、2人の顔は布で覆われ全く見えません。恋人たち自身にも見えていません。


https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/the-human-condition-1933

↑窓の外の景色。その手前にあるカンバスには、窓の外を切り取ったかのような絵が描かれています。マグリットの得意とするだまし絵です。


https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/the-key-to-the-fields-1936

↑割れた窓ガラスと窓。落ちている窓ガラスの破片に、窓の外の景色が。


https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/the-blank-signature-1965

↑『白紙委任状』。木々の向こうに馬に乗った女性がいるのですが、何かがおかしい。


https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/time-transfixed-1938

↑『貫かれた時間』。暖炉から飛び出す小さな蒸気機関車。浮いています。人気作。


https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/collective-invention-1934

↑海辺に打ち上げられた何か。上半身は魚、下半身は女性です。これのフィギュアが売られているのを見かけたことがあります。とっても欲しかったのですが我慢しました。今も欲しいから、たぶんそのうち買っちゃうなぁ...。


https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/the-month-of-the-grape-harvest-1959

↑大勢の同一人物が、窓の外からこちらを見ています。これを部屋に飾っていたら恋人に嫌われそうですね。これを見ていたら、アニメ作家の谷口崇氏(http://mc.adkda.net/)を思い出しました。なぜだろう。


https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/clairvoyance-self-portrait-1936

↑自画像。卵を見ながら、鳥の絵を描いています。普通、画家といえば汚れてもいいラフな服で制作しますよね。しかし、マグリットはスーツを着て描いていたそうです。この絵のまんまです。


https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/the-heartstrings-1960

↑ワイングラスに入った雲。おいしそう。その下にいる人々は...。



https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/perpetual-motion-1935

↑『哲学者のランプ』。哲学者?と思しき老人が、自分の鼻で出来たパイプを吸っています。その傍らには、ぐねぐねの蝋燭に火が灯ります。


https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/clairvoyance-self-portrait-1936

↑海辺を這う蝋燭。こんなキモい這い方は芋虫でもしないよ。



https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/perpetual-motion-1935

↑ナニワのおばちゃんすらこんな格好しないわ...なんと言っても顔が...ダンベル......本当に強そう。


https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/cicero-1947

↑『観光案内人』。2015年、大規模なマグリット展が開かれました。その時展示された作品です。それをきっかけに、Twitterではこの作品とマダツボミの画像が載せられ、「完全に一致www」とツイートされていました。多くいいねされていましたが、Twitterの民は本当にポケモンが好きなんですね...。


https://www.wikiart.org/en/rene-magritte/the-big-family-1963

↑『大家族』。暗い海の上にポッカリと空いた鳥型の穴。その向こうには青空。マグリットを知らない人に「何これTwitterじゃん!」と言われるやつ。



さすがに飽きたので今日はこの辺で終わりにします。





マグリットの没年月日は1967年8月15日。没後50年目である今年、たぶん著作権が切れます。たぶん。

命日ということで悲しくはありますが、未だ色褪せない彼の作品が多くの人の目に触れるきっかけになるのではないかと楽しみにしております。


グッズとかガチャガチャとか出るかな〜。楽しみだな〜(物欲)。今年、わたしのTwitterルネ・マグリットbotになります。



次回は、Instagram写真とサルバドール・ダリを比べてみます。今回よりは文量少なめです。